【ボクシング】田中恒成が失明危機で電撃引退 4階級王者「悔しさはあるけど…」笑顔で衝撃告白

日本人選手として最速で、5戦目で世界王者に輝いた4階級制覇の田中恒成(29歳、畑中ジム所属)が突然の引退を発表しました。昨年10月にはプメレレ・カフ(南アフリカ)に判定1-2で敗れ、WBO世界スーパーフライ級の王座を失った後、目の疾病のため無念にも現役から退く決断をしました。ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と並んで世界最速12戦で3階級制覇を果たした田中ですが、失明の危機には勝てませんでした。
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田中は日本選手の最速記録を成し遂げてきたものの、潔く引退を決めました。その直接的な原因は目の問題でした。
近年は網膜剥離を抱えながら戦っており、「怪我が全て」と明かしました。昨年10月の試合後に両目を手術しましたが、失明のリスクが残ることから再起不能と判断しました。「達成できなかった目標もあり悔しさもあるけど、あの時こうしておけば良かったという後悔は全くない」と笑みを浮かべながら語りました。
彼の告白は衝撃的でした。5戦目で世界王者に輝き、12戦目で世界最速の3階級制覇。同じ日本人の井岡一翔(志成ジム)や井上尚弥(大橋ジム)に次ぐ3人目の4階級制覇を達成しましたが、見えない未来との闘いに苦しんでいました。
元WBC世界スーパーバンタム級王者、畑中清詞会長(58歳)によれば「彼は生まれつき目が弱かったのではないか」と明かします。過去の試合全般にわたって目の問題を抱えており、特に20年の元旦に井岡戦で初黒星を喫した後、「4、5回手術をしたかもしれない。白内障が始まり、その後剥離の症状が現れた」と語りました。あらゆる可能性を探ったものの、最終的には「(試合を)継続させることはできなかった」と決断しました。
今後の活動は未定です。「相談には乗っていますが、本人も迷っています」と畑中会長は述べ、田中は「ボクシングに関わり続けたい」と言いました。日常生活においては目の問題はないといいます。華々しい登場を果たした記録保持者が志半ばにてリングを去ります。
◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年(平成7年)6月15日、岐阜県多治見市生まれ。小学5年からボクシングジムに通い始め、中京高校では国体2連覇など4冠を達成。在学中に畑中ジムに所属し、2013年11月にプロデビュー。中京大学に進学し、2014年10月には4戦目で日本最速の東洋太平洋ミニマム級王者。5戦目でWBO世界同級王座を獲得。8戦目の2016年12月にWBO世界ライトフライ級、12戦目の2018年9月には同フライ級王座を獲得し、最速で3階級制覇。2024年2月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し4階級制覇。身長164センチの右ボクサーファイターで、戦績は20勝(11KO)2敗。兄の亮明は東京オリンピックフライ級の銅メダリスト。